ダイエット‐理論編 山本義徳 業績集12は、ダイエットに関する2019年現在の最新栄養学を知りたいマニアックな方向けの本です。
全部で6章構成されていて、それぞれの視点で除脂肪について書かれています。
カロリー神話は本当?と疑うことからはじまり、腸内細菌叢の違いによりローファットとローカーボの効き方の違いまで駆け抜けていきます。
ホント、世にあるダイエット本を置き去りにするような各論の詳しさで、ページをめくるたびに新知識を教えてくれました。
難易度はやっぱり山本先生の本なので中・上級者向けになりますが、
何周かしないと飲み込めない教科書となる本なので、
バックアップのあとに本気で除脂肪をするならぜひ手にとっていただきたい本です。絶対後悔させません。
ダイエット‐理論編 山本義徳 業績集12 の書籍情報
著者 |
山本義徳 トレーニング指導者、ボディビルダー、サプリメントでは日本一詳しいと呼び声の高いパーソナルトレーナー。愛称は筋肉博士。 個人的に山本先生の本のおかげで筋肉が明らかに大きくなってきています。 |
初版 | Kindle版のみなので記載なし |
販売価格 | 920円 業績集のなかでこれだけKindleUnlimited対象作品ではありません。 |
出版社 | Kindleのみ |
ページ数 | 179 ページ |
目次
- 1章 カロリー神話の崩壊
- 2章 消費カロリー
- 3章 摂取カロリー
- 4章 食と健康
- 5章 ダイエットのためのトレーニング
- 6章 ローカーボとローファットの比較
ダイエット‐理論編 山本義徳 業績集12の概要
世の中には星の数ほどダイエット方法がありますが、基本はカロリー収支をマイナスにすることにあります。
家計で言えば入ってくる給料以上にお金を使えば借金になるように、体もエネルギーが入ってくる以上に使うことで脂肪の燃焼ができるわけです。
この基本をじつに簡単にわかりやすく書いたのが、筋トレビジネスエリートがやっている最強の食べ方になります。
初心者であればこれを守っておけばOKなのですが、
山本先生が語るダイエット理論では「カロリー収支が本当に全て正しいのか?」とメカニズムに迫っていきます。
アドバンスな内容ではじつはカロリー収支は大まかな傾向は示すものの、他にもさまざまな栄養学的な機序によってダイエットが成り立っています。
たとえば肝臓のグリコーゲン貯蔵量は、除脂肪に影響を与えるそうです。
エネルギーが枯渇してくると肝臓から迷走神経を使って脳に伝わり、脂肪の分解が開始されるメカニズムになっています。
つまり摂取カロリーをマイナスにすることができていても、貯金が十分に肝臓に残っていたら脂肪は落ちません。
システムの仕組みがわかれば停滞している要因も考えれますし、うまくすれば穴をつくこともできます。
この場合は肝臓のグリコーゲンを少なくすればいいわけですから、ローカーボにしてケトン体を燃料にすれば痩せやすくなることが想像できます。
ダイエット理論編では、除脂肪が進むメカニズムを5つの章にわけて多角的に説明されています。
内容は学術的で気軽に最初の1冊として手にとると心が折れるでしょうが、
筋トレがライフワークになっている中・上級者には、これ以上に面白いダイエット本はないんじゃないでしょうか。
褐色脂肪細胞は脂肪の燃焼工場
僕が特に面白いと思った部分を少しだけご紹介します。
体脂肪が分解されるときのメカニズムをご存知でしょうか?
体に蓄積された体脂肪は、中脂肪(脂肪酸+グリセロール)の形で安定的に保管されています。
これが運動でアドレナリンがでたり、カフェインをとると脂肪細胞から脂肪酸が飛び出して、血中にでてきくれて燃焼体制が万端になるのです。
ここで細胞がエネルギーを要求すると、脂肪酸が運ばれて細胞内のミトコンドリアでATP(体の基本的なガソリンです)に変えられて燃えます。
つまりミトコンドリアは脂肪の燃焼工場なのです。
でもATPはエネルギーですから、変換されたまま放置されると脂肪に戻ってしまいます。
そこで脂肪酸からATPを作らずに、無駄に燃やす細胞が注目されるのです。
その名を褐色脂肪細胞と呼びます。
褐色脂肪細胞は肩甲骨の間や脇の下、心臓や腎臓の周りに多くて、脂肪酸を無駄遣いして熱にする作用があります。
赤ちゃんや子供に多くて、彼らが体温が高いのはこの細胞が多いのが一因です。だから太り難いですよね。
それに比べて40歳くらいの男性は1/50ほどしか褐色脂肪細胞がなくなっており、非常に痩せがたい体になっています。
若い頃に比べて太りやすくなったと嘆くオジサンは多くいますが、それは熱の産生能力が低下ためだったのです。
水を多く飲むと痩せる理由
多量の水を飲むと健康にいいと流行になったことありますよね。
それにyou tubeの筋トレ有名人たちの多くも、水を沢山飲んで体調管理をされているようです。
それだけ水を飲むと体に良い反応が得られるのでしょう。
その一つの理由は褐色脂肪細胞の活性化作用によるようです。
水分を沢山とって血液が増えると、心臓は負担増加を感じて尿を出そうと命令をだします。
それがANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)と呼ばれており、面白いことにこれが褐色脂肪細胞を活性化するようです。
他にも細胞が水でパンパンに膨らむことでインスリン感受性が向上して、血糖値が穏やかになり脂肪燃焼方向に進みます。
なんとなく体の調子がよくなると思って水は沢山飲んでいましたが、科学的な根拠がでてもっと意識的に飲もうと思った知識でした。
まとめ
ダイエット‐理論編 山本義徳 業績集12は、中・上級者向けに書かれた除脂肪のための教科書です。
理論編ですので除脂肪が進むメカニズムを6章に渡ってテーマごとに解説されています。
僕もそこそこダイエット系の本は読んできましたが、章ごとに知らない知識が凝縮されて書かれていて、ワクワクしながらページをめくりました。
ここまで知識は教える側に回る人か、筋トレの道を突き詰めたい方向けですね。
あと山本先生の本にはどれも共通しているのですが、巻末には100以上の文献が記載されており、しっかりと科学的根拠に基づいて書かれていることが伺えます。
2019年現在のダイエット理論の最高峰を知りたいなら、絶対に後悔しない1冊です。オススメです。